QT延長症候群。ICD(植え込み型除細動器)との生活。

LQTSの難病女子。自分にしか生きられない人生を。

QT延長症候群
ICD(植込型除細動器)との生活

働き盛りにLQTSという心臓の難病を発症しながらも楽しく生きている人の記録。

カミングアウト

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今月から、会社に新しい人が入りました。

いつもニコニコして穏やかな素敵な人。

 

私がやっていた仕事の一部を引き継いでくださる方です。

 

さて、新しい人との出会いがあった時に困ること。

 

この人に病気のことを話しておくべきか?

バッグに付けているヘルプマークを外してしまえば、私はごく普通の30代女性にしか見えません。

(30代に見えるかどうかは別として)

 

育児中だから時短勤務とはいえ、仕事の量も責任も皆と同じだし、自分から言わなければ絶対にわからない自信がある。

 

隠したいという気持ちは全く無いけれど、わざわざ言って気を遣われたりしたら申し訳ないなーと思うんですよね。

 

つい先日、私が倒れた日よりも後に入社した子に病気のこと・ICDを入れていることを話したらものすごく驚かれてしまった。

 

彼女にとって、この歳でペースメーカー的なものを入れている人に出会ったのは初めてだったかもしれないし、心臓に病を抱えている人と会うのも初めてだったかもしれない。

 

驚きと困惑と、これからどう接すればいいか混乱したのだと思います。

 

 その時は私の性格を知っている同僚たちが茶化してくれたおかげで「あ、普通に接していいんだ」とわかってもらえたけど、毎回そううまくいくものかどうか。

 

なんて切り出せばいいの?

「実は私、病気で…」←重い。

「実は私、サイボーグで…」←変な人だと思われる 

「去年倒れて入院したんです」←ブラック企業だと思われそう

 

ソフトに、ライトに、のほほんと話したい。

これが難しいんですよね。

話のきっかけを掴めない。

唐突に話し出すとなんか怖いし深刻に受け取られそうだし…。

でも、周りは知っててその人だけ知らないというのもなんか変だし、周りの人から話すことでもないから、やっぱり自分で伝えるしかない。

 

こう、うまーく話の流れを作るしかないですな。

「やだー驚かせないでくださいよー!心臓止まっちゃいますー。本当に止まったことあるんですけどー!」的な感じなら自然だろうか。いや、不自然だな…

 

珍獣みたいなものだと思ってもらいたい

動物でいうと、オカピみたいな…パンダみたいな…コビトカバみたいな。

病人として見るのではなく、この珍妙な生き物はなんだろう?みたいな目で見て欲しいです。

 

死にかけて生き返っちゃった人、体に金属入ってる人、時々バッテリー交換が必要な人…どれを取ってもまあまあ珍しいヒトでしょう?なかなか会えない生き物なんだから、どうせなら面白がってもらいたい。

 

病気だけど「頑張ってる」とか、大変なのに明るく振舞っているとか、そういう見方をされるのはなんか違う。

隔てられている感じがする。

 

面白がるのは難易度高くても(笑)、ごく普通に接してくれるか、気兼ねなく病気のことやペースメーカーのことを聞いて欲しいです。

 

 

それはでも、仲良くなってからでないとできないことだよなあ。

 

 

事実、保育園の送り迎えの時は、ヘルプマークを隠している。

保育園のママたちの関係ってそこまで深くはならなくて、だから変に気を遣われるのも嫌だなーと思って。

 

(話は逸れますが、小さな子どもがいる母親って、道端にママチャリ停めて日々井戸端会議を繰り広げているイメージを持たれたりする。

 

それを保育園建設の説明会で「建設反対理由」として上げられたりする。住民の通行の邪魔になるし、ウルサイって。

 

でもね、保育園に子どもを預けている母親にはそんな時間ないのよ。

 

朝は急いで会社に行かないとならないし、帰りは少しでも早く帰ってご飯・お風呂・保育園から持ち帰った汚れ物の洗濯をしないとならない。

時々は、子どもが寝た後に、終わらなかった仕事の続きをやったりする。

 

仲良しのお母さんはいるけれど、それぞれ違う仕事をしているからお迎えの時間が合わないことがほとんどだし、たまに会えてもすぐに「じゃあね!」といって家路を急ぐ。

これが保育園に通う親の実態です。)

 

趣味を話すように病気の話がしたい

話を戻すと、病気のことを人に話すのって本当に難しい。

なぜかと言うと、世の大多数の人は潜在的に「人は健康なのが普通」と思っていて、病気や障害がある人は「特別」で「特殊な存在」だと無意識に区別しているんだと思うんですよね。

悪意なく無意識に、そういう空気が作られている。

 

こちら側からすると、そんな空気の中で病気の話をするのは気がひける。

 

 ただ、少しずつその区別は無くなりつつある気もしていて。

 

例えば、視力が悪くて眼鏡をかけている人を、日本では誰も特別だと思わない。

左利きも、昔は矯正されたり珍しがられたけれど、今はだいぶ寛容になってきた。

 

 右手より左手の方が器用な人もいるよね、視力が悪くても眼鏡で補えばいいよね、みたいな許容力。

 

これがもっと広がって、心臓が止まりやすい人もいるよね、ICD(ペースメーカー)で補えばいいよね、と受け容れられる世界になるといいなと思います。

 

そしていつかは、出身や職業、趣味の話をするように、

「やあ、僕ボブ。仕事はエンジニアで趣味は料理、QT延長症候群っていう病気で突然心臓が止まっちゃうから、ICDを体に埋め込んでるよ!よろしく!」

みたいな会話が普通にできる世の中になればいいのになー。

 

 

…ボブって誰だろう。