QT延長症候群。ICD(植え込み型除細動器)との生活。

LQTSの難病女子。自分にしか生きられない人生を。

QT延長症候群
ICD(植込型除細動器)との生活

働き盛りにLQTSという心臓の難病を発症しながらも楽しく生きている人の記録。

ICD手術、受けるかやめておくか?

このブログは恐らく、倒れちゃったばかりの人やICDを検討している人、真剣に悩んでいる人とそのご家族の方のアクセスがあると思うので、そんな方々のためにちょっと真面目なことを書きます。

 

◆手術を勧められた理由

私がICDの手術をしたのは、意識が戻って2週間後でした。

 

手術する前に発作が起きたのは2回です。

 

1回目は、自宅で倒れた時。

2回目は、救急搬送されて一命をとりとめ、脳を保存するために低体温療法に移行した時。

 

初回の発作から2日もたたないうちに2度めの心室細動が起きたという理由で、目覚めてすぐに「手術しないと退院は難しい」と言われました。

 

◆ICD植込みを決めるまで

一瞬考えたのち、ほとんど「入れなきゃダメなんでしょ?じゃあ手術しますか!」くらいのノリで手術を受けたのですが、その決断に至るまで…というかICD植込み手術が必要だと知らされるまでの経緯はこんな感じです。

(もはや記憶が曖昧な部分もあります)

 

  • 月曜に倒れ
  • 火曜か水曜の夜まで意識がなく
  • 目覚めた翌日くらいに(呼吸の)管を抜かれて
  • ICUで独りぼんやりしていたら主治医の先生が枕元に降臨し、いきなりICD手術について説いて去っていった

 

「いきなりそんなこと言われても…」と私の口から出たか、心の中で思ったのが露骨に顔に出ていたのか、「また説明に来るね」と言って去っていったのが私と主治医の先生(とICDという存在)とのファーストコンタクト。

 

「なんなら来週オペやっちゃう?」くらいの軽い問いかけ(あくまで私のイメージです)に面食らっているうちに先生は「また来るねー」と言って帰ってしまったけど、ボーッとした頭でも案外何を言われたのか理解していたようで。

思考が回復するにつれて「手術しなきゃダメならやるしかないよな」くらいの決断は、心の中ではすんなりと行えていました。

 

(当時のことを以前にも書いているので、よろしければこちらからどうぞ)

ICD植込みを医師から勧められた日(入院当時の記録) - QT延長症候群。ICD(植え込み型除細動器)との生活。

 

結局、手術をしたのはそれから2週間後くらいでしたが、先生がちょうど学会で不在だったために延びたのと、家族(両親と妹)にも先生からの話を聞いてもらいたいということで、週末を待って説明の時間を取ってもらったので、少し間が空いたという具合です。

 

◆決め手

  1. まずはお医者さんを信じることから始めた
  2. 気になることは思いつく限り全て確認した
  3. 自分で納得して決めた

 

ICD植込み手術を受けるか決めるにあたって、とりあえずのスタート地点を「お医者さんの言うことを信じて受け止めること」にしました。どんな治療手段を選ぶにせよ、先生は患者に今より良くなるための治療を提案するものだ(性善説ですが)と信じる。信じられない相手に自分の体を切らせることはできませんし。

 

私にとって、大きな病気は初めてのこと。

どう向き合うか悩み始める前に、まずは信じること。そして、不安から思考を始めることをやめるよう心がけました。

 

物事を見るときに、気持ちの持ち方って結構重要だと思います。

同じことを考えるにも、ポジティブな気持ちで考える時とネガティブな気持ちで考える時では、出てくる発想が全然違います。

 

心の持ち方を決めたあとは、とにかく自分の病名とICDについて出来る限り調べました。

先生にもらった冊子を熟読。そして、幸い病室はインターネット利用OKだったので、スマホを駆使して調査。疑問は先生に聞く。

 

ちなみにICDとかQT延長で調べても、当時はそんなに情報が出てこなくて、だからこのブログを書こうと思いました。

 

症状は人それぞれなので参考にならないことも多いでしょうが、何か読むものがあるだけでも気持ちが落ち着くかなあ、という気持ちで書いています。

 

ちなみにその後、例のキュレーションサイトが流行ってWELQなんかですごい適当なことが書かれ始めて、質はともかく情報量は多少増えました…無意味に。

 

◆おすすめの情報源

当時は、

  1. I CDユーザーで作るNPOのサイト
  2. 病院や公的な機関のWebサイト
  3. LQTSやICDユーザーさんのブログ

なんかを見て回っていたのですが、おすすめは、やはり2です。

 

少し難しいことも書いてあるけれど、信頼性が高い情報に触れることはとても大切だと思います。

 

疑問・不安を2のサイトで調べて、先生の話を聞いて、納得したおかげで前向きに手術に臨めました。

 

◆その後後悔しているか?

ICDが体に入っていることで日々小さな不便はあるし、リードのせい(多分)で若干体調不良だったりしますが、総合的に考えると、手術して良かったと思っています。

 

不便があると言ったって、オール電化の家には住めないなとか、体脂肪が測れないとか、ジェットコースター乗れないとかそんなことばかりです。数えたらきりがないけれど、数えるのをやめたら案外なんでもないことばかり。

 

黒子の数とか白髪の本数、数えだすと気になるけど、普段はそんなこと忘れているでしょ、そんな感覚です。

 

実際気をつけなければならないことは過去記事に書いています(これもそろそろアップデートしたい)。

ICDを入れた生活で気をつけていること、気をつけなければならないこと - QT延長症候群。ICD(植え込み型除細動器)との生活。

ICDを入れた生活で気をつけていること、気をつけなければならないこと(その2) - QT延長症候群。ICD(植え込み型除細動器)との生活。

 

今ではむしろ、なかなか味わえない経験ができて、平凡なはずだった自分の人生が随分と面白い方向に展開し始めたなあと、楽しんですらいます。

 

勿論、気持ちや体調のアップダウンはあるけれど、今はプラマイややプラスかな?くらいの気持ちです。

 

◆ICD植込みを考えている人へ

私は手術をして良かったと思っていますが、一方で「手術以外の方法で済むなら焦って入れなくても良いのでは」とも思います。

 

一度入れたICD(というか心臓に通したリード)を取り除くのはかなり大変だそうです。

 

ICDを入れることで心停止が起きても除細動が働く安心は生まれるけれど、機械が故障する可能性だってゼロではないし、機械ゆえの多少の制限がある中で生きることは避けられません。

 

ではICDを入れないとしたら、誰もいないところで心停止したら…という不安がつきまとい続けるし、こちらはこちらで大変そうです。

 

でも、結局どちらも予防措置なんですよね。治すための治療ではない。

 

「起きるかも」「起きないかも」の狭間で、どちらを選ぶか。だからこそ、自分で納得する方法を選ぶこと、流されないことが大事だと思います。